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1 さらば愛しきものよ [息子と暮らせば]

         息子と暮らせば







阿呆伝念








   さらば愛しきものよ
2010年4月6日火曜日、本日は気温が上昇して暖か穏やかな日であった。気温が10度位にしか上がらない日々が続き、日中もストーブの世話になっている。今日はその心配はなく、外回りの仕事を漸くする気になった。
 昨日、金魚が住んでいる手水鉢を今年初めて覗く。寒い日々が続いていたのでまだ冬眠しているものだと思っていた。2匹いるはずだが、一匹は沈んでいて既に死んでいた。もう一匹は元気に生きていた。餌をやるも食べない。死んだ方を外に出してやり、放置する。 水の入れ替えは3カ月に一度か、金魚たちが切ない呼吸をしているのを見つければ水を換えるという方法で今日までやって来た。金魚をいつ手に入れたかは定かでないが、子ども達が幼少の頃に間違いないだろう。あるいは小学生のときか。何匹も死んでいったが最後にこの2匹が残った。誰も面倒をみないのでわたしが育てる羽目になる。水槽で自動空気挿入機も使っていたときもあったが、結局花崗岩をくりぬいた手水鉢に落ち着いた。内径50センチで深さが30センチぐらいであろうか。本日から主の居ない無用の長物となった。
 昨晩金魚を川に放流することに思い至る。一匹では何となく侘びしい。川なら他のサカナもいる。薄暗い手水鉢の中よりよかろうと思う。それが本日の行動となった。生きているのと死んだものと両方携えて100メートルほど先の川に赴く。水温もそれほど低くなく住むのにはよい環境と勝手に決めつける。死んだ方を先に投げ込み、次に生きている金魚を投げ込む。金魚は突然の変化が飲み込めず一瞬呆然としていたが、ゆっくり泳ぎ出す。蘆の茂みに入っていきまた戻りつつ川の感触を確かめている。しばらく眺めて別れを告げる。さらば。
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