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6 ぼちぼち受験態勢 [息子と暮らせば]


ぼちぼち受験態勢
 わたしが山に弄ばれている間、息子は二階に潜んでいる。たまに高校時代の友人が来ては話し込んでいた。毎日30分から1時間外に出ている、多分運動だろう。どこかへ出かけるということは殆どなかった。10月になってからだろうか、9月だったろうか、予備校の模試を受けた。その結果を見せるように言っておいたのだが、一向にその気配がない。とんでもない結果だったことは推して知るべしということだ。あえて見せろとは二度といわなかった。勿論このときでも山に一日いない限り、「頂きます、ごちそうさま」の生活は続いていた。

 わたしが1階で一日中パソコンと睨めっこして、息子はことりとも音を立てずに二階に潜んでいる。一度も息子の部屋を覗いたこともないし覗こうという発想もなかった。時間だけが確実にゆらぎもなく過ぎていく。その内年が明け、受験シーズンが近づいてきた頃「いただきます、ごちそうさま」に変化が起こった。息子が蚊のような声で「試験受けさせて下さい」といったのだ。わたしはそうかと応えただけで、便意を優先させた。どこを受けるのか、聞く気もなかった。まさか去年と同じアホはやらんだろう、いくらバカ息子
といっても・・・。
かみさんが、息子がセンター入試を受けるという。何のためか、意味が分からない。本来ならセンター入試の点数と本試験との合算で合否の判定がでるか、センター入試の点数で本試験受験資格の足切りに利用されていた。何で息子がセンター入試、公立大など受かるはずもないし、何でという疑問だけが残った。後になってその意味が分かるようになった。
 そうこうする内に受験票が届くようになった。わたしは金を出していない、受かるところなら金を出す、去年のような全くの無駄をしたくない。去年息子は俺にどうのたまうたか。俺はこんなとこ受けても無駄だ、受かるところにしろと言った。息子は自信満々で予備校の評価はEやけど、後2カ月勉強したら受かるところまでになる。で仕方なく受験させてしまった。親ばかです。アホ親の真骨頂を発揮しております。今回はかみさんがアホ親を演じております。
 速達なので手渡しとなります。ひとつめが届いた。当然一階にいる小生が受け取ることと相成ります。R(経営学部経済学科)、えーっ、無駄。去年受けてねーっ。だいがく変えたら受かるとでもおもっとんのかね、うちのかわいい息子は・・・。
ふたつめは、目を疑ったねー。D(法学部 法学科)ほうーとしか言いようがない。これも去年受けていない。やっぱり大学変えたら受かるとうちの坊やは信じているみたいだ。信ずれば救われるを信ずれば受かると解釈、自虐の真骨頂か。
 三つ目はM(法学部 法学科)、これは去年も受けた。予備校の評価はE.いーです、よいですと解釈しとるのかね。リヴェンジのつもりなのか、来年のアレンジなのか。悲しくなってきます、窓の外は雨、雪が降っています。
 4つ目はK、しっかーも商学部、経済学部、とどめは法学部政治学科。言葉を失うということが存在することに今やっと気付きました。確か去年きみはWだったんだよね、去年より綺麗になったーっ。ずっと綺麗になったーっ。受けるのは只やナインやデー。一発25,000円也。計75,000円。
 あとは待てど暮らせど受験票がやってこない。何かの間違いではなかろうかと思ってかみさんにそのことを話すとそれだけだという。絶句。
 何で何で、そんな無駄なことをした、ドブに金を捨てるようなものだ。ドブなら拾って洗えば何とかなる。この金はすーと消えたのだ。俺にくれればよかったのに・・・。何でそんなことをしたのだとかみさんに詰問すると、言うことを聞かなかった。どこかでよく聞く決め台詞ですね。親としての判断を説得させるということを放棄する場合、いいですね、言うことを聞かなかった。泣くまで待とう不如帰。2浪させる気はない、だめだったら働けと厳命、間接的に言う。俺の口からは「この中から一つでも受かったら、逆立ちで地球一周してやる」という言葉が飛び出そうとした。わたしは出かかった言葉を何とか口の中に収めた。それは身悶え、怒り狂ったが、わたしの意志が最後に勝利した。万が一があるから言わなかったのかと問われれば、それはないと応える。万が一も、籤なら一千万が一、どう転んでもあり得ないのだから・・・。でもそれを言っちゃー終しめーよ。冷静に、バカをやってもわが息子なのだ。そこまで貶めることもないのだという親の理性がはたらいた、俺にはせいりがないので、りせいがはたらいた。世の中すざまじい凄惨な事件を起こしている若者が多い中、わが息子真っ直ぐ育っていると思う。あまり真っ直ぐ育ちすぎ、中学でいじめ、高校ではハミゴにされました。一見好青年ですが、先ほど言いましたようにどこから出てくるのか、自信過剰。いわゆる調子こくっていう性格なのですかね。わたしと話しているときはそんなことはないのですが、そういう場面を垣間見てしまいました。わたしの嫌なタイプです。高2のとき、突然留学させてくれという。その時はまだ少量の金がありましたが、留学させることなどできるわけないじゃありませんか。100万円だけだったら出す、それ以上はないといいました。それからはその話はしなくなりました。修学旅行は行かないと言い張りました。ハミゴの元はこれだった。友達と息子が思っていた仲間から修学旅行での部屋割り、団体行動からいきなり外された、それが高2の春。従って秋の修学旅行は絶対に行きたくなかった。ハミゴどうし、一匹狼と勝手に部屋割りをされて誰も友達がいない、だからいっても詰まらない。最後の最後まで抵抗した。小生は何とか説得して行かせた。沖縄は行ったことがない、家族旅行はもうない、なら知らないところは、特に沖縄はしっかりみておいて欲しい。損はない。

 で話は元に戻って、かみさんとの話の結論は、今回は前期なので後期にどこでもいいから受かるところを受けさせたいという。本人も2浪はする気がないといっている、なら何であんな大学を選択したのだ、といっても仕方ないので後期にかけることにした。彼女は息子に行き先さえ決まればどこでもよいという。御意。


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