狂牛病(BSE)情報761 口蹄疫、このままでは大変なことにならないか [平成阿房伝]
6月16日(水)10 毎日新聞
<口蹄疫>「県マニュアルに欠陥」…初期症状、水疱なく下痢
30万頭近くも牛や豚を殺処分せざるを得ない事態になった宮崎県の口蹄疫(こうていえき)禍。10年前に同県で発生した際には速やかに制圧できたのに、なぜ今回は初期の封じ込めに失敗したのか。獣医師の証言から追った。【中尾祐児】
「今でも悪夢を見ているようだ。まさか『日本中を震撼(しんかん)させる大惨事』になるなんて……」
3月26日、宮崎県都農(つの)町の牧場で、下痢の症状が出た水牛を診断した開業獣医師の男性(61)=同県高鍋町=は声を震わせた。
前日夕、モッツァレラチーズを作るために水牛42頭を飼育する牧場主から「いつもと違う。ボーッとしている」と電話が入った。
往診に出向いた26日午前10時。雌1頭の便がゆるかった。口蹄疫に典型的な口の中やひづめの水疱(すいほう)は見あたらない。「冷たい水につかって、腹をこわしたのかな?」。風邪の治療を施し、経過観察することにした。
次の30日の往診。平熱(約38度)より1~2度高い水牛が一気に10頭になっていた。徐々に感染が広がる風邪とは違う。敷料のオガクズにまざった化学物質などの中毒を疑い、県宮崎家畜保健衛生所に通報し、立ち入り検査を要請した。
だが、県も「主に下痢の症状だった」と見逃し、3月31日に採取した水牛の検体を、動物衛生研究所(東京)に送ったのは4月22日(翌日陽性と判明)。別の農家の牛が感染第1例と確認された同20日の2日後だった。
10年前の00年3月、国内で92年ぶりに発生した口蹄疫も宮崎県が震源地だった。宮崎市内で3戸の牛38頭が殺処分され、47日後には終息。県は「我が国の防疫体制が国際的にも高く評価された」(同県発行「口蹄疫防疫の記録」)と誇った。
当時、最初に牛の異常を通報した獣医師、舛田利弘さん(66)は「下痢から口蹄疫を疑うのは不可能だ」と、水牛を診た獣医師の判断に同情する。10年前も、最初の1頭はややよだれが多い程度の風邪の症状。約1週間後、牛舎の他の9頭すべてに広がって初めて「変だ」と気が付いた。「初期症状は教科書とは全く違う。水疱はなかった」と振り返る。
03年に県が策定した「口蹄疫防疫マニュアル」。牛の典型的な病状に「口の中の水疱は発病後6~8時間以内に現れる」「蹄(ひづめ)の病変は口の中と同一時期」などと記載されている。
舛田さんは「県はマニュアルで抑え込めると自信を持ったが、重大な欠陥があった。同時に複数の典型的な病状が出るという、誤った先入観を与えてしまったのでは」と指摘する。
「10年前と比べ、伝播(でんぱ)力が強いという特徴があると考えられる」。農林水産省の牛豚等疾病小委員会が見解を出したのは、感染拡大後の5月18日だった。
5月28日(金)10 産経新聞
口蹄疫 「マニュアルは机上の空論」 大阪府立大の向本准教授
家畜の伝染病・口蹄(こうてい)疫問題で、大阪府立大の向本雅郁准教授(獣医学)は28日、産経新聞の取材に、平成16年に農林水産省が作成した口蹄疫マニュアル(防疫指針)は「机上の空論だった」として改訂すべきだと提言した。府立大は近畿地方で唯一獣医学科を持ち、この地域で口蹄疫が発生した場合、主力研究機関となる。主な一問一答は次の通り。
--感染をどうみているか
「口蹄疫はこういうものだと予想されたこと。家畜の病気では、死亡率は低いので軽いというイメージがあるが、伝播(でんぱ)力が非常に強く、恐ろしい病気だ」
--なぜこれだけ広がったと思うか
「口蹄疫は牛の病気だと思いがちだが、豚に感染したのが大きかった。豚は牛よりも100倍から2千倍のウイルスを体内につくり放出する。豚の感染力が高いというのは、教科書レベルで書いてある基本的なことだ」
--防疫体制をしっかりしていても防げなかった
「ウイルスの媒体が、ハエやアブなどの昆虫となると、牛舎の構造上の問題がある。鳥インフルの場合は、防虫ネットを張っていたが、牛舎を完全に封鎖するのは現実的ではなかったのだろう」
--空気感染の可能性は
「空気感染だったらもっと一気に、同心円状に広がる。今回は、割と順番に南下している。媒体の可能性としては、野生動物か昆虫が大きいのでは」
--このウイルスの特徴は
「伝播力がインフルエンザよりも強く、ノロウイルスに近い。長時間滞留し、消毒に強いこと」
--本当に人に感染しないのか
「だいぶ昔に牛を世話をしている人がかかったという説はあるが、現在、人に感染するという科学的な根拠はまったくない。うつらないので、食べても問題はないということになる」
--治らないのか
「ほうっておけば治る。抗生物質はきかないので、栄養物質を与えるなどすれば1、2週間で治る。ただ、肉質は回復しないので、商品価値はなくなる」
--特効薬はないのか
「ない。そういう薬ができたとしても、元を絶たない限りには、ほかに被害が及ぶ。治療薬ができても、防疫上意味がない」
--防疫マニュアルをどうみているか
「机上の空論だった。マニュアル自体が、体験からつくられたものではない。マニュアルで対応できなかったのが、感染が拡大した原因の一つ」
--具体的な改善点は
「マニュアル上、口蹄疫ウイルスの判定は動物衛生研究所(茨城県つくば市)でしかできないことになっている。それでは遅い。診断は迅速にすべきで、都道府県レベルの家畜保健衛生所に判定権限を下ろすべきだ」
--ほかには
「早く殺処分して埋却ということになるが、今回の大規模な処分はマニュアル上も想定されず、埋却地が足らないという問題が起きた。感染しているのに、殺される順番待ちをしている状態を改善しなくてはいけない。マニュアルは当然書き直されるべきだと思う」
ひとこと:口蹄疫の恐怖が認識できていない。韓国の情報は把握できているのだろうか?遺伝子検査はどうなっているのだ?香港と韓国のウィルスとよく似ているという話までだ。連携して当たらないと封じ込めることはできないだろう。
<口蹄疫>「県マニュアルに欠陥」…初期症状、水疱なく下痢
30万頭近くも牛や豚を殺処分せざるを得ない事態になった宮崎県の口蹄疫(こうていえき)禍。10年前に同県で発生した際には速やかに制圧できたのに、なぜ今回は初期の封じ込めに失敗したのか。獣医師の証言から追った。【中尾祐児】
「今でも悪夢を見ているようだ。まさか『日本中を震撼(しんかん)させる大惨事』になるなんて……」
3月26日、宮崎県都農(つの)町の牧場で、下痢の症状が出た水牛を診断した開業獣医師の男性(61)=同県高鍋町=は声を震わせた。
前日夕、モッツァレラチーズを作るために水牛42頭を飼育する牧場主から「いつもと違う。ボーッとしている」と電話が入った。
往診に出向いた26日午前10時。雌1頭の便がゆるかった。口蹄疫に典型的な口の中やひづめの水疱(すいほう)は見あたらない。「冷たい水につかって、腹をこわしたのかな?」。風邪の治療を施し、経過観察することにした。
次の30日の往診。平熱(約38度)より1~2度高い水牛が一気に10頭になっていた。徐々に感染が広がる風邪とは違う。敷料のオガクズにまざった化学物質などの中毒を疑い、県宮崎家畜保健衛生所に通報し、立ち入り検査を要請した。
だが、県も「主に下痢の症状だった」と見逃し、3月31日に採取した水牛の検体を、動物衛生研究所(東京)に送ったのは4月22日(翌日陽性と判明)。別の農家の牛が感染第1例と確認された同20日の2日後だった。
10年前の00年3月、国内で92年ぶりに発生した口蹄疫も宮崎県が震源地だった。宮崎市内で3戸の牛38頭が殺処分され、47日後には終息。県は「我が国の防疫体制が国際的にも高く評価された」(同県発行「口蹄疫防疫の記録」)と誇った。
当時、最初に牛の異常を通報した獣医師、舛田利弘さん(66)は「下痢から口蹄疫を疑うのは不可能だ」と、水牛を診た獣医師の判断に同情する。10年前も、最初の1頭はややよだれが多い程度の風邪の症状。約1週間後、牛舎の他の9頭すべてに広がって初めて「変だ」と気が付いた。「初期症状は教科書とは全く違う。水疱はなかった」と振り返る。
03年に県が策定した「口蹄疫防疫マニュアル」。牛の典型的な病状に「口の中の水疱は発病後6~8時間以内に現れる」「蹄(ひづめ)の病変は口の中と同一時期」などと記載されている。
舛田さんは「県はマニュアルで抑え込めると自信を持ったが、重大な欠陥があった。同時に複数の典型的な病状が出るという、誤った先入観を与えてしまったのでは」と指摘する。
「10年前と比べ、伝播(でんぱ)力が強いという特徴があると考えられる」。農林水産省の牛豚等疾病小委員会が見解を出したのは、感染拡大後の5月18日だった。
5月28日(金)10 産経新聞
口蹄疫 「マニュアルは机上の空論」 大阪府立大の向本准教授
家畜の伝染病・口蹄(こうてい)疫問題で、大阪府立大の向本雅郁准教授(獣医学)は28日、産経新聞の取材に、平成16年に農林水産省が作成した口蹄疫マニュアル(防疫指針)は「机上の空論だった」として改訂すべきだと提言した。府立大は近畿地方で唯一獣医学科を持ち、この地域で口蹄疫が発生した場合、主力研究機関となる。主な一問一答は次の通り。
--感染をどうみているか
「口蹄疫はこういうものだと予想されたこと。家畜の病気では、死亡率は低いので軽いというイメージがあるが、伝播(でんぱ)力が非常に強く、恐ろしい病気だ」
--なぜこれだけ広がったと思うか
「口蹄疫は牛の病気だと思いがちだが、豚に感染したのが大きかった。豚は牛よりも100倍から2千倍のウイルスを体内につくり放出する。豚の感染力が高いというのは、教科書レベルで書いてある基本的なことだ」
--防疫体制をしっかりしていても防げなかった
「ウイルスの媒体が、ハエやアブなどの昆虫となると、牛舎の構造上の問題がある。鳥インフルの場合は、防虫ネットを張っていたが、牛舎を完全に封鎖するのは現実的ではなかったのだろう」
--空気感染の可能性は
「空気感染だったらもっと一気に、同心円状に広がる。今回は、割と順番に南下している。媒体の可能性としては、野生動物か昆虫が大きいのでは」
--このウイルスの特徴は
「伝播力がインフルエンザよりも強く、ノロウイルスに近い。長時間滞留し、消毒に強いこと」
--本当に人に感染しないのか
「だいぶ昔に牛を世話をしている人がかかったという説はあるが、現在、人に感染するという科学的な根拠はまったくない。うつらないので、食べても問題はないということになる」
--治らないのか
「ほうっておけば治る。抗生物質はきかないので、栄養物質を与えるなどすれば1、2週間で治る。ただ、肉質は回復しないので、商品価値はなくなる」
--特効薬はないのか
「ない。そういう薬ができたとしても、元を絶たない限りには、ほかに被害が及ぶ。治療薬ができても、防疫上意味がない」
--防疫マニュアルをどうみているか
「机上の空論だった。マニュアル自体が、体験からつくられたものではない。マニュアルで対応できなかったのが、感染が拡大した原因の一つ」
--具体的な改善点は
「マニュアル上、口蹄疫ウイルスの判定は動物衛生研究所(茨城県つくば市)でしかできないことになっている。それでは遅い。診断は迅速にすべきで、都道府県レベルの家畜保健衛生所に判定権限を下ろすべきだ」
--ほかには
「早く殺処分して埋却ということになるが、今回の大規模な処分はマニュアル上も想定されず、埋却地が足らないという問題が起きた。感染しているのに、殺される順番待ちをしている状態を改善しなくてはいけない。マニュアルは当然書き直されるべきだと思う」
ひとこと:口蹄疫の恐怖が認識できていない。韓国の情報は把握できているのだろうか?遺伝子検査はどうなっているのだ?香港と韓国のウィルスとよく似ているという話までだ。連携して当たらないと封じ込めることはできないだろう。
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