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石のつぶやき698 あまりにも悲しい何ごともない東北 [平成阿房伝]

10日から19日まで休みが取れた。夏期特休というもので6日ある。それを利用して東北へ行く予定だった。青春18切符で。これは11500円で5日間の普通列車乗り放題。日付が変わらない間は1日が有効。1日2300円。去年は横浜往復した。昔の友人にあって帰りました。後の3日分は使わなかった。片道7時間はかかった。体力がなければ使えないという代物。
 休みに入りすぐさま出かける予定をしていたのだが、体調不良、怖ろしい下痢に悩まされている。昼食をとって1時間もすれば、必死にトイレを探す羽目となる。すぐにあればよいのだが、間に合うか間に合わないかの瀬戸際を繰り返している。仕事中でも突然催すこともしばしば、トイレに走っています。公の場で粗相していないのが不思議なくらいだ。もちろん隠れた失敗は多々ある、残念ながら・・・。
 5時起きの生活にいまだになじめず、夢か現の生活です。疲れているが眠れず、心地よく眠っている乗客が羨ましいという毎日。息子も県や市の受験に帰っていて高校野球を三日見て過ごしてしまった。息子がやることがないので東京に帰るというので、13日出かけることにした。東北はゆっくり見ることの選択はなく、電車からでも眺めればという消極的な選択にした。

8月13日(火)晴
 で、13日早朝、息子と関東に向かうこととなった。小生のひとつ目の目的は鬼怒川温泉。泊まれないだろうが、あの「土」の主人公が行った温泉を見てみたい気になったのだ。東京に3時頃着いて息子と別れた。小生は一路、宇都宮を目指した。5時頃着いたのでしょう。餃子とビールを仕入れて日光線に乗り、途中下車して東部の鬼怒川温泉行きの電車に乗った。240円の区間なのに特急しかなく、500円よけい前にとられる。車掌に泊まれるだろうかと問うと、無責任にも大丈夫でしょうという。当てにはしないが、一縷の望みを持ったことは想像に難くない。8時前に着き、駅員に泊まれるところを紹介してくれと頼むと、近くではこれこれというので電話を入れる。あいにくとの返事。タクシーの運転手に聞いた方が早いので、立ち話している運転手に泊まれる宿はありそうかと尋ねれば、すかさず満館だとにべもなく応える。仕方なく宇都宮に戻る算段をする。8時過ぎに普通電車が1っぽん。これを逃すともうない。それに乗って宇都宮に何とか戻る。そこで駅員にビジネスホテルを聞くと目の前にリ-ズナブルなのがあるという。チサンホテル。4700円。朝食込みで5900円。飯は要らない、でも食べた方がよい。朝食込みにする。あらためて晩飯を食いに出る。人だかりする餃子店がある。そこの一員となってしばし待つ。焼き餃子とビールを頼む。焼き餃子のわりには、焦げた様子はない。油で揚げたようなのだ。どうして食べるのかと聞くと、マヨネーズと一味、それにニンニクが入っていないのでニンニク。今まで味わったことのない代物である。うまくも何ともない、変な味なのだ。若者たちは感激してケータイで写真を撮る。しかしうまいという声を聞かない。残そうかと思ったが無理して食べてしまった。あれだけ無理して動いたのだから寝過ごすだろうと思い、目覚ましをセットしておく。
8月14日(水)晴
 夜中に何度も目覚め、眠ろうとしたが結局6時過ぎには起きてしまった。朝食の時間を確かめると6時半からだった。全て控えめにしておかゆを食べる。何となく治まった感触であった。ところがそれから3回はトイレする。全て下痢だった。8時に出て東北に向かう。黒磯までしかない。そこから乗り換えごとに18切符の連中が動く。地元の客にとっては恐怖の季節だろう。満杯なのである、18切符の年寄りで・・・。
 車窓から見る風景は何ごともなかった装いが垣間見られる。除染した様子も見えない、あまりにも今まで通りの日常がこれでもか演出されると涙が出そうになる。海岸線から遠く現実が見えてこない。仙台までは今まで通りであるという景色が延々と続く。結局線量が高かったところでも線量が見えないことをいいことに、これからもこの通り大丈夫ですというメッセージを発している。仙台について、ここも暑かったということを確認した。別に牛タンを喰いたいわけでもなく、海岸線を回るかと思って時刻表を確認すると被害の大きなところはいまだにバス輸送にしている。原発事故の元である常磐線の楢葉、富岡、大熊、双葉、浪江は不通で放置している。線量があまりにも高すぎるのと復旧する気はないのである。にもかかわらず、それほど遠くない時期に住めるという幻想を抱かせる。この国は一体たれのために存在するのであろう?
 海岸線を回れば時間が途方もなく飛んでいく。で、いろいろ考えたが、もと来た道をとって返すことにする。ビールとサンドイッチを仕入れる。出発点の宇都宮に戻り、上野行きの通勤快速に乗る。何となく新橋に向かう。新橋ならビジネスホテルは閑散としている。10時近くに着く。駅員にビジネスホテルを所望する。駅員は地図でここならという。しばし歩いて宿を確保、6800円。安い朝食。ホテルの担当者に情報を仕入れる。その時間帯ではほとんどの店が閉まっていて、安いのは全国展開のチェーン店だという。歩いて確かめるとその通りだ。後は危ない店。野菜炒めでビールを飲む。

8月15日(木)晴
 朝の予定はないので目覚ましを使わなかった。しかし5時には起きてうとうとしながらテレビを見る。7時には朝食を食いに出かける。すき家やほかの店と提携しているらしいが、ここのホテルにある中華店で喰う。生卵と焼き魚、昨日のバイキングと大違い。しかし生卵をかけて飯だけで食欲が進み、下痢はなかった。やっと解消したと錯覚した。しかしトイレには行かずに済んだ。行方定めず旅枕、であるから野球を見てしまった。10時にホテルを出る。山手線に乗り新宿まで行くかと決める。遠い方を選んだようだ。駅の名前も失念していて、こんな名前もあったけという有り様。新宿に着いて中央線の乗り場を見ると高尾への快速があるという。乗り込んでみる。高尾に着けば臨時の上諏訪行きがある。何となく乗る。上諏訪に2時過ぎに着く。今日は諏訪湖花火大会、東京からも松本からも臨時列車が出ている。昔世話になった白樺湖のロッジに行こうかと思ったが、泊まれるはずもない。諦めて臨時の松本行きに乗る。塩尻から南下して途中温泉でも探すかと軽い気持ちで・・・。塩尻には3時過ぎに着く。南に向かう電車は4時5分。1時間近くある。外に出て遅い昼飯でも食うかと駅から出る。そばが900円とか、なんか違う。駅に戻り喫茶店で駅弁を売っているので、そこに入る。1個だけ残っているのを買って、ビールで食べる。あまりおいしくもなく、おにぎりは食べられなかった。飯を食べていると暑いですねと話しかけてくる。彼はうろうろしているのだ。暑いから動いているという。近くで良い温泉ありません?と聞く。すかさずこの近くの地名をいう。塩尻から向こう南下する方向でないかと問えば、寝覚ノ床ホテルと即座にいう。こんな時期に泊まれるのかと聞くと大丈夫という。どこで降りればよいのか確かめると、あげまつという。あげまつって聞くと、上松と字をなぞる。行ってみることにする。例え泊まれなかっても、中津川で泊まれればいいやという気になった。その後の電車があることを確認する。そして息子に電話を入れる。そのホテルが泊まれるか、調べて欲しかったのだ。息子からはなしのつぶて。5時頃上松に着く。駅前では盆の成人式をやっていてサザンの最初の曲がかかっていた。タバコを吸って暫くすると急激に便意を催してきた。下痢は治っていなかった。駅のトイレにとって返し急いでいると息子から電話が入る。屁をひりながら、用を足しながら息子と会話する。彼は暢気にもう帰るのかという。今上松にいる次第を告げる。泊まれなければ中津川で泊まると。駅前の店、色々あるが、どこで聞けばよいか、米屋があるのでそこで尋ねる。暫くして女主人が出てきた。寝覚ノ床ホテルの電話番号を教えて欲しいと乞うと、電話帳を繰ってねざめホテルだという。電話をしてくれる。満室だという。この時節は無理だという。ここはもう泊まるところはないという。中津川にでも行きますといえば、そこならビジネスホテルもあるという。
 酒とつまみを仕入れようとしていると、山男二人がどうやら同じ行動に出ている。彼らが入った店を辿れば手に入る。コンビニなどもちろんない駅前だ。彼らが入った店を後からは行ってビール、酒「七笑」を仕入れる。それに新潟の濡れせんべい、イカのこがり焼きだとか。そして彼らは成人式の生ビールを仕入れるだろうと予測しているとその通りの行動をする。ついでに生ビールを買う、400円也。濡れせんべいを肴にビールを飲む。せんべいが少し硬い。賞味期限を確認するとひと月以上前であった。硬さは時間が経っているからだ。だがもちろん全部喰った。
 5分遅れで電車が到着した。ワンマンカーで乗る場所も決められていた。乗れば整理券をとるように請求される。上松という名の入った券だった。ようするにバスと同じなのだ。その前の電車とは違い、満席で立ち客が多かった。降りる客は一番前から運転手に整理券と切符を、あるいは定期をみせて降りることになる。ずっと立ちっぱなしで後二つか三つで中津川に着こうかというところで席が空く。当然座った。中津川駅のまわりは暗く、泊まる気も失せた。この電車の接続を待っている列車があった。客の流れに乗って乗車した。名古屋で泊まることにする。
 名古屋について駅を出て栄に行くか、どうしょうか迷ってしまう。出口に向かう途中、下りの列車の時刻が目に入る。後5分でとりあえず最寄り駅まで補償される。バスがあるか、なければタクシーで帰ることになる。名古屋で泊まってもすることがないので、帰ることにする。最寄りの駅に着いてバスの時刻を確認する。盆仕様のバス時間は、5分前に最終便は出ていた。ゆっくり晩飯でも食って帰ろうと店を探すがみな閉まっている。開いているのはなじみのない、値段がわからない店ばかりだ。諦めてタクシーに乗り込む。
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