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石のつぶやき759 難民申請2545人に認定18人、「お・も・て・な・し」の国 [平成阿房伝]

1月19日(日)14  朝日新聞


(日曜に想う)国追われ、海を渡った味の切なさ 論説主幹・大野博人


 その料理本はこんな言葉で始まる。
 「故郷エチオピアにいる母から、時々、母のドレスを送ってもらっています。『洗わずに送って』と必ず伝えます。それは、服に残った母の匂いから、母のこと、故郷のことを思い出すことができるから」

 45種の料理をカラー写真とともに紹介している。書名は「海を渡った故郷の味」。レシピを提供したのが日本で暮らす15人の難民だからだ。戦火に追われたり、政治的な迫害を受けたりして日本にたどり着いた人たちだ。NPO難民支援協会(JAR)が昨年、出版した。

 母国には帰りたくとも帰れない。母の「洗わないドレス」を求めるように、記憶をたよりに、日本で必要な食材をさがし、あるいは代わりの材料を工夫して調理してきた。

 エチオピア、スリランカ、クルド・・・・・・。本格的エスニック料理というより、異郷でくじけそうになる心を支えてきた一人ひとりのふるさとの味だ。


 JARの推計によると、昨年1年間に日本で難民としての申請をした人が3千人を超えた。1982年に難民認定制度ができて以来最多。一昨年の2545人に続いて記録を更新した。
 国連難民高等弁務官事務所が昨年出した報告によると、世界で毎日2万3千人が住む場所を追われている。総計は約4500万人。

 シリアや南スーダンの情勢悪化もあり、高い水準で推移している。また欧州諸国が受け入れ制限に傾いていることが日本への増加傾向につながっているのではという指摘もある。

 だが、日本の受け入れレベルは相変わらずきわめて低い。  法務省によると、一昨年に難民として認定したのは18人。申請数に対してわずか0.7%だ。数千人から万を超える認定をしている欧米とは桁違い。認定されなければ、定職も社会保障も得にくく生活は安定しない。 

最近、アフリカの国から逃れて難民申請をした30代に男性は、時刻では反政府グループに近いとみられ、仕事や住所を転々とする日々だったと語る。子どものころ、父親も政治的理由から殺害された。たまたま訪日の機会があり、国に戻らない決意をした。日本は難民認定に厳しいとは聞いた。「でも、帰国したら逮捕されますから」。ノートには学び始めたひらがながていねいに書かれている。

 JARの石井宏明常任理事、「日本でも、難民を管理ではなく保護の対象と考えてほしいのですが」と話す。

 今、日本は「積極的平和主義」を外交の柱としてアピールしている。
 昨年12月、南スーダンにPKO出動している自衛隊から韓国軍に弾薬1万発を供与したときも、政府はこの言葉を使った。

 韓国軍は宿営地に逃げ込んだ現地の人たちを守るためにも弾薬を必要としていた。人道的な緊急措置だ。積極平和主義という方針にも基づく---。

 新年になって、安倍首相のアフリカ訪問で難民支援に1160万ドルを出すと発表した際もこの言葉を添えた。
 難民を助ける他国や国際機関に弾薬やお金を出すことを積極平和主義と呼びながら、危険な場所からはるかな日本に助けを求めに来た人たちに直接手をさしのべるのをためらう。このどこが「積極的」なのだろうか。
 おりしも、昨年日本を訪れた外国人が1千万人を超えたことがニュースになった。喜ぶべきことには違いあるまい。しかし、そのうち最も貧しく最も苦しい3千人に冷たいままで「お・も・て・な・し」の国と胸を張れるのだろうか。

 そんなことを考えながら、「海を渡った・・・」からひとつ作ってみた。
 「鶏肉とジャガイモのスパイス煮込み」。ミャンマーの料理だ。いくつもの香辛料がよくきいてピリッとしていながら、まろやか。
 そして切ない味がした


ふたこと:日本が尊敬される国になれないのは、薄情なのだからだ。「困った人を助ける」、道徳では当たり前にそうしろという。だが困った人(難民)を助けない。人口が減っていき、成長戦略などあり得ないものを政策にしている。難民を受け入れて移民を受け入れてこそ、「成長戦略」なのだ。「日本民族は単一民族」という明治のプロパガンダが脈々と生き続け、その先祖返りの総仕上げを安倍はやろうとしている。
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