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伝念入院記7 手術日決定 [伝念入院記]

手術日2018年4月11日(水曜)と決定

抗がん剤が効いて患部が小さくなった、手術ができると主治医が提案

2018年3月30日(金)通院
この日主治医が手術の説明書を提示 以下内容
 
 手術・観血的処置等に対する説明書

患者 阿呆伝念様の手術・観血的処置に関して、以下の通り説明しました。

1.現在の診断名と症状について
 胸部下部食道に約4㎝大の食道癌を認め狭窄をきたしています。食道癌は食道壁の一番内側の粘膜と呼ばれる場所から発生し、壁の深い方へと浸潤していきます。それと同時にリンパの流れや血流にのって周囲のリンパ節や他の臓器へと癌細胞が広がっていくといった特性を持っています。食道癌の治療成績や進行度は、深達度(食道壁のどの深さまで癌が浸潤しているか)およびリンパ節転移の広がり、転移している個数によってある程度決まってきます。現在のところ癌細胞の浸潤は食道壁の外膜にとどまっており、リンパ節の転移はありません。他臓器移転については、骨に転移を示唆する所見を認めています。

2.手術(処置)を選択する理由について
 食道癌があり、狭窄をきたしているため、手術により食べ物の通り道を確保する必要があります。食道癌に対する治療法として標準治療は手術、代替治療として化学療法、放射線治療があげられ、狭窄を解除する目的でも同様の治療が選択しに挙がります。現在のところ、手術による癌病巣切除と再建術が経口摂取改善に最もよい方法と考えられます。ただし、今回の手術は骨転移を疑う病変が存在しているので根治切除ではなく、経口摂取改善が目的です。また、通常は根治切除が不可能な場合はバイパス手術といって原発巣は切除せずに食べ物の通り道を橋渡しする手術が選択されますが、今回は病変が切除可能である事、原発が残っていることで出血や感染、窄孔、疼痛の原因となる可能性があるので原発巣は切除する方針とします。

3.他の治療法と手術(処置)をしなかった場合の結果について・セカンドオピニヨンについて     
放射線治療法、制癌剤による化学療法や免疫療法があります。化学放射線療法は約1ヶ月半の治療期間を要して、化学療法と放射線照射を行うものとなります。これにより癌が消滅する可能性もありますが、遺残する可能性もあります。また、癌は消えても狭窄が解除されない可能性もあります。腫瘍の完全消失率は約30ー70%前後といわれています。

4.手術(処置)の具体的方法について
 食道癌におけるリンパ節転移は胸腔内のみならず、頚部から腹部に至る比較的広い範囲にわたって認められるのが特徴です。従って、頚部から腹部に至る比較的広範なリンパ節の除去を行う必要があります。手術は右胸部から約1㎝の穴を4-5カ所あけて、その穴から鉗子を挿入し、手術を行います(胸腔鏡手術)。癒着や何らかの問題があり、胸腔鏡手術が困難であれば通常通りの開胸手術となります。まず胸部の手術を行い、腫瘍のある胸部食道を切除します。つぎに胸骨下縁から臍に至る腹部の正中で切開し、残胃とその周囲のリンパ節を切除し、回結腸(回腸と結腸)を授動します(消化管再建)。また、頚部にも横切開をおき、残った食道を誘導します。再建法は、回結腸を胸骨の後ろを通して頚部まで持ち上げ、残った食道と吻合します。

5.手術(処置)により期待される効果について
 原発巣が切除され経口摂取が可能となる経路ができます。

6.手術(処置)により起こりうる合併症とその頻度・危険性及び緊急時の処置について

食道癌の代表的な術後合併症としては以下のものがあげられます。

 ① 呼吸器合併症(約30%)
 全身麻酔の影響や術中肺を圧排すること、肺への神経が切離されることや郭清に伴い気管への血流が乏しくなることなどの影響により、肺の分泌物の増加や肺の拡張不良が起こります。これにともなって喀痰の排出不全や肺炎、胸水貯留などの合併症が起こりうる可能性が20%程度あります。このような合併症は術後4~5日目より10日目ぐらいにかけ認められるものです。肺は体内に酸素を運ぶといった重要な役割を担っているため、呼吸状態が悪化しないよう喀痰を排泄する目的で気管支鏡による頻回な喀痰吸引を行う必要がありますが、場合により気管支切開や人工呼吸管理をやむをえず行わなければならないこともありえます。

② 縫合不全、再建臓器壊死:10-30%
血流不全や、吻合部への緊張が高いことなどが原因となり、縫合不全が手術例の約10%に認められます。小さな漏れであれば絶食期間を2~3週間おくことでほぼ自然に治癒しますが、大きな漏れや感染をともなう場合、もしくは胃管の血流不全により壊死した場合には緊急に再手術、複数回の手術が必要となることも考えられます。

③ 反回神経麻痺:30%
声を出すための声帯の動きを司る反回神経は胸の上部から頚部にかけて走行していますが、この周囲には転移を起こしやすいリンパ節が存在し、確実に郭清する必要があります。この操作に伴い神経麻痺をきたす可能性が20%であります。その場合には声帯麻痺となり、声がかすれる、あるいは嚥外時に誤嚥する可能性があります。喀痰を吸引しやすいように頚部の気管に細い管を挿入したり、気管切開処置が必要となる場合があり、長期留置を要することもあります。

④ その他大小の合併症をあわせ、術後合併症をきたすうる可能性は約50%と、この手術は比較的襲の大きなものとなっています。手術に起因する合併症死は約3-4%です。

⑤ QOLの障害:食欲低下、食物の停滞、もしくは腹痛、下痢といった症状が起きてくることがあります。そのため、一回の食事摂取量を少なめにして、回数で補う必要が出てきます。食後の腹痛や下痢、気分不快といった症状は長期にわたり出現する可能性もあります。また体重も術後数年にわたりなかなか増えてくることができません。いずれの症状も術後一定の期間が経過すると、体が順応するため症状が軽くなりますが、その間は投薬や食事指導、特別な栄養管理が必要となることがあります。
⑥ 術後せん妄:食道切除に限らず、大きい手術を受けられる患者様は一時的に、奇異な行動や、発言をしたり、自分で点滴を抜いたり、腹部のドレーンを抜かれたりする場合があります。また看護師さんを呼ばずにひとりで歩こう年それが原因で転倒し、打撲や骨折をされる場合もあります。
⑦ 深部静脈血栓症:手術後は血液が固まりやすくなり、臥床が必要となることも相まって、血管内に血栓ができやすくなります。血栓が心臓や脳、肺などにながれていけば、心筋梗塞、脳梗塞などを発症します。

⑧ その他手術や麻酔に関連する、あるいは関連のしない予想外の事態が生じる可能性があります。
7.当診療科における成績について  各進行度別にみた生存率(術後各年毎において生存されて折られる確率)は以下の通りです。
  Stage0: 1年 100%    3年100%   5年 100%
StageⅠ:  1年 100%    3年84%  5年 84%
StageⅡ:  1年  96%    3年70%    5年 56%
  StageⅢ: 1年  69%    3年37%    5年 33%
StageⅣ:  1年  63%    3年25%    5年 17%

 なお、入院中に採取されました組織については病理専門医が、細胞については細胞診指導医が診断を行います。



説明した日時         30(2018)年3月30日 午前11時30分開始
               30(2018)年3月30日 午後12時10分終了

 また「説明書」には、合併症として縫合不全や肺炎などと書かれ、結果「敗血症、生命の危険」とはっきり書かれている。手術日が決まっていても撤回は出来るともいう、主治医は。
 わたくしは説明を聞いてこんな難しい手術をよくするなあという感想を漏らした。少しの失敗も許されない高度な手術と思えた。なるべく避けたいと思えた。そう言うと主治医は、大学病院としての役割は高度な手術を技術的に地域において最先端であるべきという立場が優先する。困難であるから避けるということは無いという。だが手術される者にとってはたまったものではない。少しの失敗は即死に結びつくのだ。わたくしでさえ、躊躇をおぼえる。しかし、いつか食道のバイパス手術が必要になるという。それなら早く今手術をしてしまうかという気に傾く。不安を抱えながらも手術に同意することにする。ということで、手術日が2018年4月11日(水曜)と決まった。


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