石のつぶやき７７８ 金がなければトクホも健康食品もないだろう、ただ信仰が・・・

5月29日（木）１４　朝日新聞朝刊


　 健康食品　粗悪品にご用心

　「健康にいい」とうたわれている健康食品だが、質の悪い製品も出回っている。その実態の一部がこのほど、専門家の分析で明らかになった。買おうとした人が外装の表示を見ても優劣を判別できず、国の規制も不十分だ。健康食品を購入するなら、注意点を知っておこう。
　
専門家が分析
　　103製品中22製品品、表示成分含まず

　分析したのは、国立医薬品食品衛生研究所の合田幸広・薬品部長だ。２００５～１２年、国内で流通する健康食品のうち、１０３製品を分析した。その結果、２１パーセントにあたる２２製品で、表示されている成分が含まれていなかった。

　対象とした表示成分は「コンドロイチン硫酸」「イチョウバ」など１０種類だ。

　　例えば、女性ホルモンのような作用のあるといわれる「プエラリア」は、表示のある１７製品のうち９製品で含まれていなかった。

　また、１０３製品の１２％にあたる１２製品では、表示されていない成分が混入していた。例えば、目に良いとされる「ビルベリー」の表示がある製品に、より安価な原材料が入っていたが、その表示はなかった。
　合田部長の別の研究でも、質の悪い健康食品の存在が明らかになっている。

　08～13年度、「グルコミサン」「イチョウバ」などが表示された32製品（カプセル・錠剤）について行った調査だ。腸内で吸収される状態に形が崩れるかを調べると、半数の16製品で形が崩れなかった。崩れなければ、吸収されずにそのまま排泄（はいせつ）される。

　これらの結果から、合田部長は「利幅を増やすために粗悪品を作る業者がいる可能性を捨てきれない」と話す。

　日本食品規格協会の池田秀子理事長は「メーカーに十分な技術力がないことも要因の一つ」と指摘する。カプセルや錠剤は、有効成分に添加物を混ぜ、圧力をかけるなどして作られるが、混ぜ方や圧力のかけ方が悪いと、成分にばらつきが出たり、体内で崩れなかったりするという。
　国内で健康食品は2万種類あると言われている。合田部長の調査は、主に医薬品の規格作りを目的に、ごく一部の製品を調べただけだが、低品質な商品が出回っている現状がデータで裏付けられた。消費生活アナリシストの板倉ゆか子さんも「業界全体を見ても実態は同じだろう」とみる。

　　国、抜本策なく

　なぜ低品質の製品が出回っているのか。

　健康食品の中でもトクホ（特定保健用食品）には一定の規制がある。健康増進法や関連規定で、発売前に人に製品を食べてもらう実験をし、そのデータに基づいて国が有効性や安全制を確認することなどが決まっている。

　しかし、トクホなどを除く多くの健康食品は、一般食品と同じ扱いとなる。食品衛生法やJAS法で、衛生面や製造元の記載などは義務づけられているが、他の特別な規制はなく、企画製造から販売まで企業判断に任されている。そのため、低品質な商品があっても、国は把握できない。

　板倉さんは「技術力が低くても、もうけ主義で低品質なものを作っても、製品が流通してしまうのは問題。監視が追いついていないので、規制強化を求めたい」と話す。
　一方、国は、健康食品が体にどうよいのかを示す「機能性表示」の新制度を作ろうとしており、検討は大詰めを迎えている。表示する場合、成分量を確認し、品質管理の方法を情報公開するなど一定の品質条件を企業に求める方向だ。

　たとえば、これまでは「季節の変わり目に目や鼻が気になる方に」などとあいまいな表示しかできなかったが、新制度では「メチル化カテキンを含んでいるため、花粉が気になる方の目や鼻の調子を整えます」などと直接的な表現ができることになる。
　それでも、直接的な表現をするかどうかは企業の判断。健康食品全体の品質をただす効果は低いとみられる。


ふたこと：消費者庁は食品の健康表示解禁が今年度中にされる。ということは、これらの粗悪健康食品にお墨付きを与えるようなものである。テレビや新聞、マスメディアの健康食品をめぐる宣伝合戦は消費が頭打ちになっていることの表れで、パイの分け前が終わってしまったということ。これ以上パイが増えないことの証左である。それを消費者庁が一番問題となる食品がどう体にいいか示す「機能表示」が今年度中に解禁されるという。安倍政権の成長戦略の一環であるが、これもまた日本の市民を不幸にする。でたらめな健康食品と称するものがマスメディアを通じて売りまくられている。消費者も少しは賢くなったか、踊らされていたが、「金と効き目」に疑問を抱くようになったのだろう。効くと思えばそれでよし、だけの話だ。それを安倍政権は成長戦略と捉えている。日本の市民はよほど間抜けなのだろう。

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